●4話
「どっちの景色も正しいんだと思う・・・。」
しばらくの沈黙の後、楓吾がポツリと呟いた。
「ここで起こる出来事は、今まで通りの価値観を当てはめない方がいいと思う。さっきの俺みたいに混乱するから、
・・・・考え方を変えた方がいいだろうな。」
「・・・・だよね・・。」
そう答えるのだが、史絵奈は見事に混乱したままだ。
窓の外の暗闇といい、西日の固定といい・・異様な景色事態ありえない状況だ。おまけに、見える景色がお互い違うとなると、何を基準に話をしていっていいのかわからなくなる。
楓吾は、どちらも正しいのだと言った。
今になって、不安がどんどんわき上がってくる。心もとない気持ちで彼を見つめると、楓吾は自分の思いの中に沈んだ表情でたたずんでいる。
「ここは、思念の世界と思った方が、わかりやすいのかもしれない。虚像の世界なので、実体がないんだ。」
そこまで言って、ハッと顔を上げる。
「まさかどこかの組織につかまって、バーチャルな世界を見せられているなんてことないだろうな。
そんな映画があったんだよ。捕えられて意識を失い、ベットの上で頭にパルスをつけられて、強制的に映像を見せられるっていうの。」
「私たち、さっきまで教室にいたんだよ。記憶もはっきりしているじゃない。そもそもそれを考えるなら、いつ捕まったのよ。」
ついついムキになって言ってしまう。
これはかのんが関わっているはずなのだ。人間の仕業じゃないはずだった。
史絵奈のいやに力の入った言葉に、楓吾は目をまん丸に見開き、
「・・・・そう言えばそうだ。俺達、ずっと学校にいたものな。」
答えてまた思いに沈む。けれども、いくら考えても結論は出ないと思ったらしい。史絵奈に向きなおって。
「お互い、何がどう見えているか確認し合おうか。」
と言ってくるので、史絵奈はコクンとうなずくのだった。